戸建て木造リノベーション(構造補強含む)| 茨木市 戸建て
戸建てリノベーションを 茨木市にて行いました。
Contents
■リノベーションの概要
要望としては、まず、キッチン、風呂、トイレ二個の水廻りのやりかえ。キッチンとダイニングに間仕切り壁があるため、取り払い,
広い一室空間へということでした。高齢のクライアントが、一人で快適に住むための戸建て住宅のリノベーションです。
これに関しては、茨木市であり、補助金額も兵庫県に比べて少ない状態でした。また、昭和60年ごろに 増築をして建築確認をとっていることもあり、補助金の申請ができないため、補助金を使うことはできませんでした。
北側の間仕切りを取り払いました。
南側の間仕切りを取り払い、ダイニングを広い一室空間としました。
間仕切りの部屋のビフォーアフターです。
提案としては、水廻りをやり替える際の耐震補強と、間仕切り壁を取り払うに際して、柱をとると二階が落ちてくるため、梁の補強やキッチンの位置関係のケーススタディです。間仕切りを取り払う中で、柱や壁の位置を触る為、地震対策のための耐震構造計算を行い、しっかりとした補強を行うことが重要です。キッチンに関しては、家族が多い場合は、カウンター型が好まれるが、一人もしくは二人住まいの場合は、壁付けキッチンでよいとのことでした。外構工事も行い、カーポートを設置。
浴室を小さいサイズのものから大きいサイズのものへ変更。二階和室を寝室へ。部屋を暖かくするために、断熱改修と、窓ガラスをペアガラス化を実施しました。
工事金額は、
耐震工事 2000万 水廻り300万 間仕切り改修200万
外壁工事 120万 外構工事 100万
+ 消費税
工事費用合計 おおよそ1000万円
■耐震リノベーション工事
・台所と食堂の間の壁と柱を取り払う際 梁補強、耐震補強工事と金物 構造用合板確認をしっかりと行う。
・風呂場の土台があけてみると腐っていたため、取り換える。
・耐震工事は、評点1.0型の一般的な値段(170万程)から予算の兼ね合いで、少し基準を小さく0.9型に抑えている。(130万円)
木造をリノベーションする際には、木構造のしっかりした知識がないと、わからずに重要な柱や壁を取り払ってしまい、逆に建物が弱い構造になる可能性もあります。簡単な壁をいじられる際も、全体の構造計画の中で、しっかりと判断を行うことが重要です。
以下 計画から工事監理まで詳細を記載していきます。
■調査と耐震診断
① 打ち合わせにて図面作成。 クライアントの要望は水廻りの改修と間仕切りを取り払い一室空間にする間取りの変更 , 外壁の修繕 , 室内を断熱材を入れて暖かくする等であった。間取り変更に伴い、壁や柱を取り払う必要性があるため、耐震診断と補強が必要であった。図面が存在しなかったため図面を採取。
② 耐震診断を実施 地震力に対して、評点が 1.0 以上あれば、建物は持ちますが、結果は1階東西方向 0.88 南北方向 0.68 2階東西方向 0.97 南北方向 0.85 であった。1階の南北方向が特に弱いことが判明した。
■構造補強計画
③耐震補強計画を策定 評点を1以上とした。 南北方向の壁は、重点的に筋違をダブルで 入れ、構造用合板で補強を行う。
■プラン提案
④キッチン廻りの 配置をいくつか 提案を行った。今回は、一人で住むための
住居であるため、カウンター型のキッチンではなく、壁付けのキッチンとした。このほうが、ダイニング空間は広いものとなる。
図は窓側からキッチンをみたものと、キッチン側から窓側をみた イメージパース。既存の間仕切りがなくなり広々とした開放的な空間となった。
水廻りの改修の打ち合わせを行う。 6 パターンを提案した。
クライアントの選択は、当初 L型キッチンであったが、その後の打ち合わせで結局 壁つけのI型 となった。クライアントは右利きの為、右廻りのキッチン作業を行うことが有利であると申し上げた。買い物を、冷蔵庫に入れる→キャベツ等をとりだす→水洗でキャベツを洗う→台でキャベツを切る→コンロで焼く→配膳をする。この一連の作業を鑑みてキッチンを設計することが重要である。右回りにこだわることもあるが、一般的には、カウンター型の Fを選ばれる方が多い。子供のいる家庭は、カウンター型を選ばれる状態が多いが、夫婦2人だけの家庭では、カウンターキッチンを選ばれないことも多い。様々な生活様式と好みによるが、カウンターは家族数が多い場合に有効かと思われる。
パースはカウンターキッチンのもの
結局 以下のような 改修となった。ピンク部分が改修耐震壁
今回、工事としては、トイレ2個、キッチン、風呂の水廻りの改修と耐震工事、風呂を大きくしたことに伴う壁の位置の変更、食堂の床が上がっているため床のやり替え、外壁改修、カーポート設置、庭の整備が工事の主体となった。
■予算の調整
⑤外壁工事とともに 工務店に相見積をお願いし、予算調整を行い、工務店とお施主様との契約が無事結ばれました。
■工事状況①
今回、台所と食堂が、間仕切り壁により仕切られていたものを、空間にして開放的にすることが望まれた。
台所と食堂の壁の写真である。
壁を取り払った写真である。真ん中の柱で梁を支え、二階の荷重をうけていることがわかる。
この柱は、構造的に重要な 二階を支える柱であったため、柱を取り去る代わりに、二階の荷重を支える大きな梁が必要とされた。たわみの計算結果の後、梁のサイズを決定し、施工をおこなった。柱と梁の仕口には、特殊な金物をいれ補強している。工事のクライマックスは、この梁補強であった。既存の柱を取り払い、梁を増設し、既存の梁と構造用合板でつなげ、数多くのビス内を行い、二階の荷重が問題なく処理されるようにしている。
二階の荷重を支える大梁の写真。
大梁と柱の接合部。金物はみえないが、しっかりと柱と梁を接続するものを取り付けている。
新設の梁と既設の梁は、合板をはり、ビスをうちつけているため、一体の梁として、存在することになる。
■工事状況②
浴室廻りの土台が腐っていました。タイル貼りの浴室の水漏れによるものです。
現場の施工写真。筋交いをダブルでいれています。
柱脚と柱頭を、金物でつなぎ、断熱材を敷き詰め、構造用合板をはります。
柱頭柱脚には3KN以上の金物を設置します。
構造用合板は、ピッチ100-150の ビス打ちを行い しっかり固定して
地震時に壁が、力を受けれるようにします。丁寧な施工が、建物を支えていきます。
キッチンがとりついていきあとは、クロスをはると完成です。
■外壁改修工事
外壁の工事に関しては、30年近く 外壁を触った状態になかったため、ひび割れ、亀裂等が数多く存在していた。放っておくと、そこから雨水がどんどん侵入し、構造体である木が腐ったり、外壁のモルタル自体が落ちて隣の家に被害を与えることも予想された。従って、仮設足場を立てて、大きな亀裂はVカットして、落ちてきそうな外壁ともにエポキシ樹脂系接着剤を注入し補修した。今回工事中に、大きな台風が2度、直撃したが、幸い、屋根等被害は存在しなかった。塗装を行い、以前と変わり、きれいな姿になった。
南、西側外壁クラック
施行中の足場
塗装が終わり完成しました。
■まとめ
まずは、調査を行い、耐震診断をして、現状の劣化状況や構造的に不安定な部分を確認していきます。そこで、施主と様々な打合せを行い、ご希望のプランニング(機能的な平面計画)をまとめ、構造計画を同時に行っていきます。プランニングにおいては、くらしの要である、キッチンの計画が非常に重要になります。その他、断熱改修(断熱材の設置 窓のペアガラス化等)、外壁塗装、屋根工事、防水工事などを拾っていき、見積の調整を行い、施工会社を決定したのちに、工事に移ります。工事に関しては、撤去した後の状況をしっかりと確認し、設計変更などを踏まえながら、工事監理を行っていきます。
■当社の強み
当社の強みとは
構造や断熱などの住宅性能についての考え方,仕上げ材料に対する知識、デザイン力であるはずである。リフォーム会社は、一般的に、構造への知識や構造計画の力、間取りプランニングの提案力、建築基準法に対する理解が少ないようです。
設計者により、しっかりと適正な構造計画を行い、使いやすい間取りを十分吟味することが必要であると思います。
当方の事務所としては、様々な相談に対して
1 条件整理 予算の調整 構造計画 間取りや空間の提案
2 複数の工務店に対しての見積もり依頼
3 見積もり内容の査定と面接による工務店の選定
などを行っています。
当方の事務所としては、数多くの実績のある耐震補強計画の策定や、間取りの変更、水廻り(特にキッチン)の改修、工事予算の調整 に、他社とは 差別化できる強みがあると考えています。
木構造に対する知識も豊富であり,適切な構造計画を行い、工事中の指導も適切に行います。